6.5
データ格納
オントロジ及びその他のRDFデータモデルは、RDF専用データストア、若しくは、連想データ技法をサ
ポートする為にカスタマイズされた関係データベースの中に蓄積され得る。RDF専用のデータストアは、トリプルズの概念をサポート
する為のみに設計され、オントロジの格納に効率的且つ独創的な方式を提供できる。RDF専用データベースは、Tucana TechnologiesやIntellidimensions等の会社から提供されている。高品質のオープンソー
スのRDFデータストアも幾つか存在し、Kowari、Redland、Sesame、3Store等の会社から提供されている。関係データベースを利
用する場合、該当するデータベースを多少伝統的でない方法で設計しなければならない。各主要な概念を記述するテーブルの代わりに、一般に、そのデータベー
スは4個のカラムを含んだ単一のテーブルを使用することに
よってトリプルズの概念を模倣するように設計される。そのカラムの内の3個にはトリプルの要素(すなわち、主語と述語と目的語)を格納し、4番目のカラムには、その識別タグを格納するために使
用される。(”セマンティックデータとRDBMSとのマッピング”と題した研究報告は、関係データベースへのトリプル格納の実
装方法に関し多くのことを知ることのできる優れた情報源である。)
[トリプル(すなわちRDF)の記述、格納及び問い合わせ]対[伝統的な関係手法](更には、実装時にこれ等二つのタイプのどちらを用い
たら良いか、また、共用するには如何にしたら良いのか)に関する問題は、業界や市場の中で未だ結論の出てい
ない問題である。格納機能と問い合わせ機能とのそれぞれは、今のところ他では出来ないユニークな機能を提供する。RDFは、将来実行される問い合わせのタイプを予測する事
が難しい場合の様な状況にうってつけである。更に、RDFはメタデータの処理や不正確若しくは本質的に異なる
データの横断検索を必要とする問い合わせを行うのに非常に適している。例えば、”今年のエネルギー生産者状態の’緑’は、幾つ?”と言う行の問い合わせは、SQLを使うよりは (一度、色々なデータストアと結びつけたモデルを作れ
ば) RDFの問合せ言語を用いて実行する方が簡単である。反
面、SQLを用いると非常に簡単な”今年、最もCO2の排出削減を行ったエネルギー生産者は誰”と言うような問い合わせは、RDF問い合わせ言語を用いた場合、非常に複雑になること
もある。
RDF問い合わせ言語は、未だ、発展を続けている言語であ
り、上記の様な制約を超えて広がるかも知れない事に注意されたい。RDFの他の制約は性能に関する問題である。問い合わせは
用語だけでなく概念を含むように拡大するので、検索空間が劇的に増大する。RDFデータの格納技術は比較的新しく、また、実装事例も
少ないので、システム開発者は、性能にネガティブな影響を与える問い合わせと機能とに対して特別な注意を設計時に繰り返し払う必要がある。業界成長の観点
から見ると、RDFがデータベース業界に如何なる影響を及ぼすかを見通
すことは難しい。RDFデータ格納機能は、独自のデータ格納カテゴリとして
存続するかも知れないし、または、オブジェクト指向データベースが関係データベースの中に吸収された様に、その機能が関係データベースの中に吸収されてし
まうかも知れない。