報道発表文
日本で初めてのセマンティックWeb基盤パッケージソフトウェア
「SemanticWebエンジン」の発売について
2005年1月25日
株式会社サイバーエッヂ
株式会社サイバーエッヂ(社長:清水昇、本社:東京都港区)はこのたび、国内におけるセマンティックWebアプリケーションの普及へ向けて、日本語処理が可能な日本で初めてのセマンティックWeb基盤パッケージソフトウェアである「SemanticWebエンジン」を開発し、販売とOEM提供とを開始します。
製品名 |
発売日 |
価格(税込み) |
SemanticWebエンジン |
2月1日 |
5,250,000円/ユーザ |
本製品は、RDF/RDFS/OWL汎用パーサ、オントロジデータベース、オントロジデータアクセスメソッド、Semantic Web API、RDF Generator、Semantic Data Generator、Ontology Viewer/Generatorの7つのコンポーネントから構成されます。本製品を用いると、JavaまたはC言語でのセマンティックWebアプリケーションプログラムの効率的な開発、RDF/RDFS/OWLデータの正当性の検査、RDF/OWLデータモデルに対応したN-Triplesの生成、GUIナビゲーションに基づくDublin Core、RSS1.0等の標準語彙を用いたメタデータの作成、ユーザ固有のメタデータ語彙の作成、GUIナビゲーションに基づくオントロジを用いた知識データベースの構築、オントロジの意味の表示、ユーザ固有のオントロジ語彙の作成が可能となります。また、本製品の標準アプリケーションである「RDF Analyzer」を用いると、RDF/OWLデータの日本語への翻訳と、OWLの論理記述の論理式への翻訳が可能となります。
(注)
RDF : Resource
Description Frameworkの略称であり、W3Cが制定したメタデータ記述の為の標準言語。
RDFS : RDF Schemaの略称であり、RDFの拡張に用いられる。
OWL : Web Ontology Languageの略称であり、RDFをオントロジ用に拡張してW3Cが制定したオントロジ用標準言語。
N-Triples : 主語、述語及び目的語の三つの要素から成るRDFの意味モデル。
■製品開発の背景
セマンティックWebとは、国際的なWeb技術標準化団体であるW3C(World Wide Web Consortium)が中心となって標準化を進めている、次世代Webのフレームワークのことです。セマンティックWebではWeb上の様々なコンテンツにメタデータ(データのためのデータ)を付与し、メタデータ間の関係をオントロジと呼ばれる規則によって定義することで、それらのメタデータやオントロジに基づいてWebコンテンツをエージェントソフトウェアにより自動処理することを目標としています。この目標へ向けて、Webコンテンツにメタデータを付与するためのツールや、オントロジを構築するためのツール、メタデータやオントロジを蓄積したり検索したりするためのツール、さらにこれらのツールを開発するためのツールキットなど、セマンティックWeb関連の様々なツールや応用アプリケーションが世界各国で開発されてきています。
このうち、既存のセマンティックWeb関連ツールキットとしては、米ヒューレットパッカードの研究所のJenaや米スタンフォード大学のProtégéなどがありますが、これらは英語のインタフェースのため、国内の一般的な開発者にとって使いにくいという課題がありました。このため、株式会社サイバーエッヂでは、誰でも簡単にセマンティックWebアプリケーションを開発できるように、国内の開発者にとって使いやすく、日本語処理が可能なセマンティックWeb基盤パッケージソフトウェアである「Semantic Web エンジン」を開発することとしました。
また、セマンティックWebの基盤となる技術仕様として、メタデータ記述フレームワークであるRDF(Resource Description Framework)と、オントロジ記述言語であるOWL(Web Ontology Language)とがあります。RDFやOWLの仕様書は膨大であるため、これらを完全に理解して、仕様に準拠したRDFメタデータやオントロジデータを記述することや他の人が作成したオントロジの意味を把握することは容易ではなく、セマンティックWebの利用を妨げる一因ともなっています。本製品の開発は、RDF/OWLの構文の詳細な知識がなくても、必要な情報を入力するだけでRDFメタデータやオントロジデータを作成できるようにすることで、セマンティックWebの利用を簡単することを狙いとしています。
■主な特徴
1.セマンティックWeb応用アプリケーションの簡単な開発を実現
本製品のパーサによりRDF/RDFS/OWLにより記述されたデータを解析して主語、述語、目的語の三つから成る意味モデルデータ(N-Triples)に変換し、その意味モデルデータを本製品の提供するAPI(Application
Interface)によりアクセスしたり、操作したりすることができるので簡単にセマンティックWeb応用アプリケーションを作る事ができます。
2.メタデータを簡単に生成することができる。
電子図書館用のメタデータであるDublin Coreやブログ用のメタデータであるRSS(RDF Site Summary)のGUIテンプレートを提供しているので簡単にDublin Coreやブログ用のメタデータを作る事ができます。
3. オントロジの意味を分かり易く表示することができる。
本製品のオントロジビューイング機能によりOWLで記述されたオントロジの意味をツリー構造とテーブル構造とで表示するので、従来、理解するのが難しかったオントロジの意味を分かり易く表示できます。
例えば、海外で作成された医療用のオントロジである米国のNCI(National Cancer Institute)オントロジや英国のGalenオントロジの意味を分かり易く表示できます。
また、この機能を用いれば、同義語や用語間の関係をも示す高度な辞書を実現することが可能となります。
4. オントロジデータ(知識データべース)を簡単に作成することができる。
オントロジの意味を表示した画面上で編集を行うことにより、新たな語彙やデータの追加や既存データの変更や削除を行なうことができ、それらの変更後、新たなOWLデータの生成を行なうことができるので複雑なRDFやOWLの言語知識を知らなくてもオントロジデータを簡単に作成することができます。
また、Microsoft社のExcelを使ってもオントロジデータを生成する手段も提供しています。
5.日本語処理ができる。
日本語データの処理を設計段階から想定しているので海外の類似のソフトウェアとは異なり日本語を含むオントロジデータやメタデータを作成したり処理したりすることができます。
6.複合概念や条件付概念の記述や表示ができる。
弊社が開発した論理式に似た概念記法(S記述と言います)を用いることによりOWLで記述可能な複合概念の記述(“A及びB又はC”の様な記述)や条件付概念の記述(“Aの値を持つB”の様な記述)を分かり易く表示したり定義したりすることができます。
これにより或法令や規則に準拠しているか否か検証するソフトウェアやシステム等の構成要素を簡単に記述できるので、システム等を管理したりその要素を条件検索したりするソフトウェアの作成が容易になります。
■製品の概要
本製品(SemanticWebエンジン)の全体概要図は以下の通りです。
上記の全体概要図のとおり、本製品は7つのコンポーネントから構成されています。各コンポーネントは以下のような機能を持っています。
コンポーネント名 |
機能概要 |
RDF/OWL汎用パーサ |
RDFおよびOWLデータを解析し、そのデータの意味を主語、述語および目的語から構成されるトリプル(三つ組)の集合に変換するパーサ機能を持つ。また、解析時にそれらの構文検査を行うバリデイタ機能も持つ。ユーザは自分のAPから下記のSemantic
Web APIを介してRDF/OWL汎用パーサを呼び出すことが可能である。 |
オントロジデータベース |
RDFおよびOWLデータの意味を主語、述語および目的語から構成されるトリプルの集合データとして管理する機能を持つ。通常、オントロジデータベースはRDF/OWL汎用パーサによって生成されたデータを蓄積し、下記のSemantic
Web APIとオントロジデータアクセスメソッドとを介してユーザAPから利用することが可能である。 |
オントロジデータアクセスメソッド(ODAM) |
オントロジデータベースをユーザAPからアクセスしたり、操作したり、検索したりするための標準関数群。この標準関数には、利用開始関数、利用終了関数、読み出し関数、検索関数、各種要素取り出し関数等がある。 |
Semantic
Web API |
オントロジデータアクセスメソッドに対するプログラミング言語であるJavaやC言語に対する言語ごとのインタフェースを提供する。 |
RDF
Generator |
RDF構文の詳細な知識がなくても、必要な情報を入力するだけでRDFメタデータを作成することを可能にするSemanticWebエンジンの標準ツール。Dublin Core、RSS1.0のテンプレートを準備しており、これらの標準に基づくメタデータを簡単に作成できる。 |
Semantic
Data Generator |
RDF/RDFS構文の詳細な知識がなくても、必要な情報を入力するだけで新たな語彙を作成したり、他で定義された語彙を用いてセマンティックなデータを作成したりする事を可能にするSemanticWebエンジンの標準ツール。 RDFで作成された語彙のクラスとプロパティの分類や語彙の包含関係を木構造で表示し、用語間の関連を表で表示する。表示された木構造画面や表構造画面を編集するだけでセマンティックデータを簡単に作成できる。 |
Ontology
Viewer/Generator |
RDF/OWLで記述されたオントロジの意味を木構造や表や論理式記述形式で分かり易く表示するビューイング機能とビューイング機能で表示された画面を編集する事でRDF/OWLの構文の詳細な識がなくても、必要な情報を入力するだけでオントロジデータを作成することを可能にするSemanticWebエンジンの標準ツール。作成するオントロジの量が多い場合、Microsoft社のExcelを用いてオントロジの原データを作成する事もできる。 |
■利用環境
ハードウェア
CPU |
インテルCeleronプロセッサ2GHz(あるいは同互換プロセッサ)以上 |
メモリ |
256 MB 以上の空きメモリ |
ハードディスク |
30 GB 以上の空きハードディスク容量 |
ソフトウェア
対応OS |
Windows XP以降 |
JREもしくは、JDK |
・JRE 5.0以降もしくは、JDK 5.0以降 |
■SemanticWebエンジンの実行例
1.RDF Generatorの画面 2.Semantic Data Generatorの画面
3.Ontology Generatorの画面 4.Ontolgy Generatorの画面
(Galenオントロジを表示した場合) (癌オントロジを表示した場合)
5.RDF Analyzerの画面
■問い合せ先
〒108-0014 東京都港区三田二丁目10−5
株式会社 サイバーエッヂ 中須
TEL: 03-3452-1233
FAX: 03-3452-1233
eメール: info@ns.cyberedge.co.jp
URL:
http://www.cyberedge.co.jp/index.html