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セマンティックWebのビジョン
セマンティックWebは現在のWebの発展形であり、そこでは情報はわかりやすく定義された意味を持ち、コンピュータや人間の共同作業を可能にする。
Tim Berners-Lee, James Hendler,
Ora Lassila(2001)
W3Cによれば、データが、人間だけでなく自動化されたツールによっても共有でき、処理でき更には理解可能になった時に初めて、Webはその潜在能力の極限に到達できる。将来のプログラムは、ウェブのスケールで、たとえ夫々独立して設計されたものであってもデータを共有でき、処理でき、また、理解できなければならない。
定義段階であるにもかかわらず、セマンティックWebという用語は、IT業界の人のみならず多くの人々にとって多分まだ聞き慣れない言葉であろう。しかし、それが対象としている問題は、この数十年の間解決するのに苦闘していたものである。
その問題の例として、情報過多問題、ストーブパイプシステム問題、低品質収集(poor content aggregation)問題などがある。(Daconta, Orbst, and Smith, 2003)
これらの問題の根本的原因は、個々のシステムでのセマンティック定義の欠如、データセット間のセマンティック統合の欠如、本質的に異なるシステム間における意味の相互互換性の欠如である。セマンティックWebは、現在のWebの能力及び既存の情報技術を超えた領域を有し、それによって、より効率的な共同作業やより賢い意思決定が可能となる。セマンティックWebは、セマンティック技術や概念基盤やより良く理解可能な相互操作の約束規則を用いてアクセス可能な知的ウェブサイトとデータストアとの集合であり、それにより、サービス要求に対して応答する為により多くの仕事を機械が行う事(機械的な検索手順、より関連性があり信頼度の高い情報の提供、知的推論の実行、又は、知的仲介(brokering)の実行等)を可能にする。
図4はセマンティックWebの概念図であり、セマンティック技術を既存のWebにどのよう付加したか示している。
図4: セマンティックWebの概念階層
セマンティックWebのこの様な構想は、数年で実現できるものではないが、確かな事は、低コストあるいは無料のウェブサーバ及びグラフィカルなブラウザが利用できるようになった後、沢山のウェブサイトが出現した様に何等かの要因で急速な進展が起こるであろう。しかし、そのウェブサイトの開発の進行状況は、6年に亘って比較的混沌としたものであった。スクリプト言語の付加から始まり、末端の利用者用ツール、カスタムビルドのサーバコンポーネントそして比較的整然と進化したコア言語の統一セット、アプリケーションサーバ、コンテント管理システム、e-コマースエンジン、Webサービス及びその他の企業にとって価値のあるコンポーネントや提供物などがあった。
セマンティックWebの成長は、市場ダイナミックスの中の進化を通じて行われるであろう。セマンティックWebの互いに結合された世界のビジネスモデルは、より理解され、先端ウェブ技術の認知度は高くなるだろうが、その構想の多くの部分が組み立てられるまでには、タイムラグがあるであろう。